江・金文

史上最多のメダル獲得で盛り上がった冬季オリンピックでしたが、私もフィギアスケートの宮原知子選手の応援のために、先週、韓国の江陵(カンヌン)アイスアリーナに行ってきました。メダルは取れませんでしたが、今持っているすべての力を出し切った会心の演技でした。終わった後の宮原さんの大きなガッツポーズがそれをよく表していました。大きなけがを克服しての納得の演技、本当に誇らしかったです。

さて、フィギアスケートの会場となった江陵(カンヌン)は、ソウルから高速鉄道で2時間ほど東に行った日本海に臨む20万人ほどの港町です。スキー会場となった「平昌」は30分ほどの圏内にあります。丘の多い地形で、江陵の駅からオリンピック会場までは徒歩で20分ほどでしたが、丘のような山を一つ越えて行かなければなりませんでした。

江・金文

江/金文3000年前

河・甲骨

河/甲骨3300年前

「江」は緩やかにカーブして流れる川を表す字です。中国では緩やかに湾曲して流れる「揚子江」を「江」といい、北方の90度に曲がるカーブを持つ「黄河」を「河」と言いました。

陵・篆文

陵/篆文2200年前

「陵」は天から降りてこられる神様をお祀りする建物(お宮)がある場所を表します。その建物は山が平地に近づいた地形に作られたため、「陵」は「おか」の意味で用いられるようになります。そうした場所に天皇のお墓などを作ることが多かったので「みささぎ(御陵)」ともいうようになりました。江陵(カンヌン)」も緩やかに曲がる丘の多い場所でした。まさに、漢字の成り立ちどおりの地形でした。

ところで、江陵(カンヌン)の街の中では漢字をほとんど見ませんでした。かつて同じ漢字圏の国であり、漢字は、朝鮮半島を介して日本に伝えられたにもかかわらず、なんだかさみしい気がしました。ハングル文字で書かれた街は、別世界に来た気がしました。

2018年2月26日