喜多方_あづま旅館

2014年10月10日~13日まで漢字探検隊(白川研)の催しで福島に行ってきました。そこで、ユニークな街に出合いました。会津にある喜多方市です。

喜多方と言えば、ラーメン・蔵の街として有名ですが、現在新しい喜多方の魅力を売り出すために「あること」に取り組んでいます。

あることとは、「漢字のまち 喜多方」。「漢字のまち」として売り出していこうというのです。漢字で町おこし・・・イメージできるでしょうか。なかなかイメージできないですよね。そこがユニークなのです。

中心の取り組みを紹介します。「古代文字ミステリーウオーク」という市内を巡るツアーがあります(初級・中級・上級編 所要時間1時間から2時間)。ツアー代金がいりますが、参加するとまず市街地の地図が渡されます。そこにはこのツアーに協力する180あまりの店屋さんの所在地に番号が付けられています。その中から当日指定された17のお店屋さんを探して街を回る(上級編)というツアーです。

一見どこにでもあるような街歩きのツアーですが、ユニークなのは指定されたお店屋さんの店先やショーウインドウに、桐の板の看板が掲げられていて、そこにお店の名前と漢字一文字が古代文字で書かれているのです。

その古代文字がなんという文字なのか、謎解きをしながら市内を巡るという取り組みです。お店を探しあてても、古代文字が読めない場合は、お店の人に聞くのです。すると、読みとその文字の成り立ちを教えてもらえるのです。なぜなら、その一文字はお店の人が選んだ文字だからです。

例えば、眼鏡屋さんは「目」。お米屋さんは「米」、旅館は「旅」、せんべいやさんは「炭」、薬屋さんは「薬」、観光案内所は訪問の「訪」等など180を超えるお店屋さんが、思い思いの一文字をそれぞれ選んで書いてあるのです。だから、自分が選んだ漢字の成り立ちはちゃんと説明ができるのです。

漢字を探して街を歩きながら、お店の人と会話できる。それが、売り上げにすぐにはつながらなくても、観光客とお店の方との会話が始まる。それだけでも、街に活気と元気が出てくるのではないか。ともすればこれまではラーメン目当てのお客さんばかり。ラーメン店は潤っても、町全体の活性化にはならない。もっとたくさんのお店に立ち寄ってもらって、みんなが元気な街にしたい。店に飾られた看板の古代文字の謎を解くツアーがそのきっかけになるのではないか、そんな思いで立ち上がった人がいたのです。

2011年のことです。おりしも大震災、原発事故で、会津では修学旅行生も観光客も激減していました。今もその落ち込みは続いています。だからこそと立ち上がったのが、市内に住む書道家で篆刻家の「高橋正巳」さんでした。180を超えるお店に掲げてある看板は高橋さんがすべて書きました。その字はどの字も味があって、見事です。

この高橋さんの熱意が街の人びとを動かし、賛同者を増やし、今では行政も巻き込んで市の観光課も全面的にバックアップする取り組みにまでなってきています。

地方の街を元気にするその一つ切り口に漢字を使って「新しい街の魅力を伝えよう」とがんばっている町が、東北の会津にあることを是非今日は紹介したいと思いました。会津地方に出かける機会があれば、ラーメンと古代文字の謎を解きに喜多方に立ち寄っていただきたいなと思っています。皆さんで「漢字のまち 喜多方」を応援しませんか。

放送日:2014年10月20日

喜多方_観光案内所 喜多方‗山中煎餅本舗 喜多方_矢部米店

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