ラジオ第223回 春に向かう

北野天満宮2024

ここ1週間、ぐずつき模様の天気が続き、青空に映える梅の花を見る機会がないまま「北野の天神さん」の梅は満開を迎えていました。やっと土曜日(24日)に陽射しがさして、急いで見に行くと、かすかに匂う梅の香りが梅園に漂い、春の訪れを感じさせてくれました。

春・甲骨

春/金文3000年前

蠢・篆文

蠢/篆文2200年前

」という字の古代文字は、あたたかな太陽の光春パーツ・日・金文を受けて、芽を伸ばそうとしている草の根春パーツ・草の根・金文の様子を描いています。冬の間じっと閉じこもっていたあらゆるものが、新たな命を得て動き出すそんな季節の始まりを表す字です。その春という字を使った「(うごめ)」という字は「春」の下に「虫」が2匹いる字です。春になっての虫たちがうごき出す様子を描いた字です。昔の人々も「虫」が動き出すことによって、新しい春の訪れを実感していたのでしょう。

啓・甲骨

啓/甲骨3300年前

啓・金文

啓/金文3000年前

そのごそごそし始めた虫たちが地上に()い出てくる頃を、暦の上では「啓蟄(けいちつ)(3月5日~19日ごろ)」と言います。

「啓蟄」の「」は、「戸」と「(ぼく)」と「口(願い事を入れる器サイ )口・さい」との組み合わせからできています。「戸」は神棚の片開きの扉。「攵」はこの場合は「手」を表し、願い事を入れる器(  口・さいを収めた神棚の扉を手で「ひらく」ことを表します。開くことで神さまからの啓示(神さまが自分の意思を示すこと)を受けるのです。その啓示を受けてすべてのことが始まるので、「はじまる、はじめ」という意味にもなりました。

蟄・篆文

蟄/篆文2200年前

肇・甲骨

肇/甲骨3300年前

その「」と「蟄(虫が()い出して来ること)」とがくっついて「虫が動き始める」=「啓蟄」という言葉になりました。

かつて、「クレイジーキャッツ」というグループのリーダーが「ハナ肇」という人でした。この「」は、「啓」の上側(戸との攵)と「(いつ)」との組み合わせで、啓とおなじように「ことを始めること」を表す字で、「はじめ」と読みます。

ついでに、同じグループのメンバーだった「谷 啓」は「」です。同じグループに二人も「ことをひらく、はじめ」の意味を持つ人がいました。だからではないでしょうが、戦後の高度成長時代に、楽器を弾かせても、コメディアンとしも高い力量を持って新しいバラエティの扉を開いた「はじめ」てのグループでした。

「啓」・「肇」とも、閉じていたものが「ひらく、はじまる」の意味で使われるので、新しい季節「春」のはじまりにふさわしい字だなと思います。その「啓」と「肇」の字に、前回取り上げた「女へん」に「台」の「始」(農作業のはじめに鍬を清める儀式)を合わせると、春は新しい何かが「ひらく、はじまる」そんな季節なんだなと、改めて感じます。

今日発表があったように、この番組が3月末で終わってしまうのは寂しい限りですが、きっとその先に、また新しい何かが「ひらく、はじまる」はずです。今日私がリクエストした岸田君の「愛を告げる」という歌は、そんな思いを感じさせる歌なので、ちょうどリクエストして良かったです。

では、みなさんにも素敵な春が訪れますように!

放送日:2024年2月26日


1 Comment

  1. エ!このコーナー終わってしまうのですか?
    糸をしばって「終」ですか。
    「拝啓」となる事を望みます。

コメントを残す

メールアドレスは公開されません

*