體・体・篆文操・篆文

久しぶりに、アフパラ月曜日のメッセージテーマ「体操」に便乗します。「体操」の「体」と「操」の成り立ちを紐解いてみます。

體・体・金文

體・体/金文3000年前

體・体・篆文

體・体/篆文2200年前

最初は「(たい)」。「体」は「からだ」を表す字ですが、旧字体は「骨へん」に「豊」と書く「(たい)という字でした。「骨」があるので、「からだ」を表す字だというのはわかります。(つくり)の「豊」は、この場合は「(おん)」を表すパーツとして使われています。でも、骨に豊かと書かれると立派な体を持つ人というイメージにさせられます。

その画数の多い「體」が、もともと違う意味で使われていた「イ(にんべん)」に「本」と書く「体」にどうして変わったのか、実はその経緯はよくわかっていないのです。わかっていないのですが、画数を少なくして書く手間を省こうとしたことは確かです。そのうえ、「イ(人)の(もと)」と書く字なら、「からだ」にぴったりだよねと納得したからではないでしょうか*。

*「からだ」を表す字には、「體」の他に「骵・躰・軆」等の異体字があります。

その「からだ」を表す字の「体」が、体格・体形・体力・体重など「からだ」の意味で用いられるのは当然ですが、「体質」は「生まれながらに持っているからだの性質」の他に「会社の体質」などのように、組織の持っている性質や特徴にまで意味を広げて用いられています。また、「体面を(けが)される」などと用いると「名誉や面目をけがされる」といった意味になります。読みは違いますが「体裁(ていさい)」という字も「外から見た時の感じ、他人から見られたときのかっこう」のように用いられます。

このように「体」は、「からだ」を表す以外に、そこから派生して、いろいろな意味で用いられている字でもあります。

操・篆文

操/篆文2200年前

次は、「体操」の「(そう)」です。「操作・操縦」等と用いるので、「あやつる」という意味があります。ですから、「体操」といえば、「からだをあやつること」となります。

では、「操」が「あやつる」という意味を持つようになったのは、なぜでしょうか。

「操」は、「扌(手へん)」と「(そう)」との組み合わせ。手を使っているので、何かを動かす、つかむことに関係しています。(つくり)の「喿」は、下側に「木」があり、その上に「口」が三つあります。木の上に、多くの「口」=願い事を入れた器の「  口・篆文(さい)」がある形です。白川先生は、「多くの  口・篆文(さい)をつけた木を手にかたく持ち、あやつって願いごとが実現するように一心に祈ることから」「とる、もつ、あやつる」の意味になると言われています。

なるほど、「体操」の「操」は、願い事がかなえられるように一心に祈ることを表した字でした。ですから、体操をするということは、「からだよ!思うように動け」と念を込めて体を一心に動かすことだったのです。

あやつるように体を一心に動かすことを表した「体操」という言い方は、成り立ちを踏まえると、なかなかうまくできた熟語です。

これからは、操れるかどうかあやしいですが、心して体を動かしたいと思います。

放送日:2023年1月23日