クリスマスが終わらないと年の瀬という感じがしませんが、今年もあとわずかになりました(この回の放送は2017年12月25日でした)。師が走ると書く「師走」は、「物事がすべて終わる」、「し果てる」という意味を持つ言葉です。そして、1月になれば「睦月」、「生む月」。また新たな始まりです。今回は一から十までの「漢数字」の「成り立ち」について話をします。
一 |
二 |
三 |
四 |
五 |
六 |
七 |
八 |
九 |
十 |
甲骨文字の一から三は、横棒が一つずつ増えていく形で、現在の漢数字とほぼ同じ形をしています。横に長い棒は数を数えるときに使った木=算木と言われるものです。
四/篆文 2200年前 |
四/篆文 2200年前 |
ところが、「シ」は現代では「四」ですが、甲骨文字は三にもう一本足して横木が4つ重ねられた形をしていました。その「」が後に「」の字に変わりました。おそらく、横棒四つが一と三なのか二と二なのか混乱することから新しい字を作ったのです。それが現代の「四」です。
どんな成り立ちかわかりますか?四角の中にカタカナの「ル」に似た形が入っています。古い文字(左側)を見るとわかるのですが、実は口から音(息)を長く伸ばしている形です。口からどんな音を出しているのでしょうか?「スゥー(シィー)」と出しているのです。「四」の音(息)を口から出している形が現在の「四」の字の元です。
五/甲骨 3300年前 |
「五」の形は何からできているのでしょうか?「五」の形は木を斜めに交差させて作った二重の蓋の形からできました。蓋と数字の五は意味の上では関係がなく蓋の「音」を借りて「五」に使わせてもらった字です。
六/甲骨 3300年前 |
「六」は白川先生によると小さなテントのような形をした建物からできた字だということです。古い文字を見ると確かにテントのような形をしています。神が天から降りてくるときの建物の形を表します。数字の六とは意味の上での関係はありません。
七/甲骨 3300年前 |
切/篆文 2200年前 |
「七」の古い文字は現在の「十」の漢数字にそっくりでした。だから、「十」と間違えられたこともあったようですが、「七」は「切断した骨」の形だと白川先生はおっしゃいました。だから、「切る」という字は「七」と「刀」との取り合わせであると。
八/甲骨 3300年前 |
分/甲骨 3300年前 |
「八」は左右に物が分かれる形。今の字にほぼその形のままで残りました。刀でものを左右に分ける形が「分ける」の「分」です。
九/甲骨 3300年前 |
次は「九」です。「九」は「身を折り曲げている竜」の形から生まれた字です。確かにくねっています。「九」も「音」だけを借りた字です。
十/甲骨 3300年前 |
最後に「七」と間違えられた「十」です。「十」は細長い棒を縦にした形です。一から三で使われた算木を縦にした形が「十」を表しました。
さて、三千年以上前の「十二月」は上記のように書きました。十を表す縦の棒と二と月との組み合わせです。以下、甲骨に描かれた一月~十二月までの書き方です。
一月 |
二月 |
三月 |
四月 |
五月 |
六月 |
七月 |
八月 |
九月 |
十月 |
十一月 |
十二月 |
一年、十二か月。今年も月2回「漢字成り立ち教室」におつき合いいただきありがとうございました。来年もよい年でありますように。
放送日:2017年12月25日
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