京都はさわやかな天気がしばらく続いています。若葉青葉の映える5月は、愛鳥週間(バードウィーク)の月でもあります。*愛鳥週間:5月10日~5月16日
京都の鴨川でも、川中でじっと餌を待つ白鷺や大きな羽を広げて飛び立つ青鷺、のんびりと川を渡る鴨たちの姿が見られます。今回はそんな鳥たちにまつわる漢字を取りあげてみようと思います。
鳴/甲骨3300年前 |
進/金文3000年前 |
鳥は、「口」+「鳥」=「鳴く」のように、「鳥」そのものが使われる字の作り方の他に、「集まる」とか「進む」という字に使われている「隹=ふるとり」として漢字の中に入っている鳥がいます。今日はその「ふるとり」=「隹」の字の入っている漢字を扱います。
木の上に鳥がたくさん集まっている様子から「集まる」という字はできていますし(昔は木の上に「隹」が3つ書かれていました。)、道で「鳥」を使って進むか進まないかを決める「鳥占い」からできた字が「しんにょう」に「隹」と書く「進む」という字でした。
翟/金文3000年前 |
翟/篆文2200年前 |
同じように、鳥が羽をはばたかせて飛び上がろうとする姿からできた漢字があります。旧字体では鳥を表す「隹=ふるとり」の上に「羽」と書く字=「翟」です。(現在は「羽」がカタカナの「ヨ」を二つ書く形に変化しています。)
躍/篆文2200年前 |
その「翟」に「足へん」をつけると「活躍」とか「躍動」という時の「躍」になります。思い切り足で地面(水面)をけって空に舞い上がろうとする姿から「躍」。力強さが伝わってきます。そこで、「跳躍」とも使います。鳥だけでなく獣の走り出す躍動感などのイメージにもつながります。
濯/篆文2200年前 |
右側の「翟」に「さんずいへん」をつけると「洗濯」の「濯」になります。「すすぐ」という訓を持つ「濯」は、水面から羽ばたこうとする鳥の水しぶきを表す漢字です。
曜/古代文字なし |
もう一つ日常よく使う字で「翟」を使った字があります。左側に「日へん」をつけると「曜日」を表す「曜」という字になります。お日様と鳥の羽ばたく姿を合わせて「かがやく」という意味を持つ字となりました。太陽に向かって鳥が羽ばたいていくイメージにも、力強く飛び立つ姿そのものが輝きを放っているようにも感じられます。(燿という字もあります)
現在では曜の字で表した一週間の各日(月・火・水・木・金・土・日)を表す使い方をします。「曜日」という言葉には、毎日が「輝く日」であることを願う思いが込められているような気がしてきます。
「跳躍」の「躍」、洗濯の「濯」、「曜日」の「曜」。鳥が羽ばたく姿に力のみなぎるもと、生命の輝きを感じた古代の人々の思いがその形の中に詰まっている気がします。
飛/篆文2200年前 |
羽ばたいて空を翔けていく鳥の姿は「飛行」の「飛」、「飛ぶ」という字です。「飛」の古い文字は、羽根を広げて飛んでいる鳥の姿を表していると言われていますが、なんとも不思議な形をしています。
放送日:2017年5月22日
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