ゴット先生の京都古代文字案内

年末恒例の「今年の漢字」が、明日清水寺で発表されます。1日早いですが、どんな漢字が今年の漢字に選ばれるのか、予想してみます。（12月11日放送）

※翌12日に発表があり、「税」が今年の漢字になりましたが、私なりの予想ですからそのまま掲載します。）

最初の候補は「高」です。

今年はとにかく暑い年になりました。「異常に」がつくくらいの暑さが秋になっても続きましたから、「暑い」を候補の字にしたいのですが、「暑い」の「暑」は2010年に選ばれていますから、今年は気温の高い状態が続いたということで「高」の字にしてみました。

その高い気温のせいで農作物の出来が悪く、品薄になって値上がりが続きました。しかも、ウクライナ戦争などの影響が続き、小麦やガソリンの値段など軒並み高値が続く「物価高」の年でもありました。

一方、スポーツ界に目を転じると、3月のWBCでの優勝で日本野球が世界一の高みに登りつめ、国内では阪神が38年ぶりに日本一の頂点を極めました。さらに、将棋界では藤井聡太名人が八冠の偉業を成し遂げ、将棋界の高みを極めました。

こうしてみていくと、今年の漢字に「高」がきてもおかしくないと思いませんか。

高　甲骨3300年前

そこで、「高」の字の成り立ちですが、この字は高い建物の形からできた字です。

古代文字（甲骨）をみると、2階建ての建物の形そのものです。古代中国の街は壁で囲われていました。その出入口に門があり、その門の上に大きな建物が建てられていました。そこは人々の出入り口だけに、街の中に悪いものが入ってくる危険もあるので、入ってこないよう魔よけの祈禱も行なわれました。それが、願い事を入れる器（口=さい）の形で字の中に残っています。できれば、今年の漢字となって、この1年の邪気を追い払ってほしいものです。

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次の候補は「変」です。この字は、2008年の「今年の漢字」に選ばれていますが・・・・。

今年は気候も、社会も「へん」なことばかりでした。温暖化の影響は「へん」ではなく、当たり前になりつつあるのかもしれませんが、北海道ではこれまで獲れていた「鮭」がいなくなって、代わりに「ふぐ」や「ぶり」が大量に獲れるなど漁業にも大きな影響を与えました。社会ではジャニーズ問題のように覆い隠されていた「へん」なことがあばかれ、海外を拠点にした振り込み詐欺や強盗事件、政治の世界の金の闇が次からつぎへとでてきました。変なことばかりでした。

一方、社会が大きな変革期に入ったと感じられる1年でもありました。「チャットＧＰＴ」を始めとした「生成AIシステム」の急速な発展など、これまでの常識や価値観を変えないと通用しない時代が到来していること予感させる1年でもありました。社会の方向性も含め、変化が求められる1年でした。

變・変　戦国文字2500年前

「変」という字は、旧字体では「變」。今の上側の「亦」が「 」でした。「恋」の旧字体「戀」と同じです。「 」は、神様への誓いの言葉を入れた器に糸飾りをつけた形。その下に棒を持った手の形があり、神様に誓った言葉を入れた器をたたいて壊す、破ることを表しています。文字通り、これまでの誓いを「かえる」ということを表す字です。どこかが「おかしい」という意味の「変」でもありますが、新たな時代への変化が求められる「変」の1年でもありました。

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以上は、私の思いを込めた今年の1年を表す字ですが、一人一人にとって今年を表す漢字はさまざまに浮かぶかと思います。

2003年に阪神がリーグ優勝した時には「虎」の字が今年の漢字に選ばれています。今年は、それを越えて日本一ですから「虎」がきても不思議ではありません。陰に隠れていますが、オリックスもパリーグ3連覇ですから「牛」？にも日を当ててやってほしいです。

また、今年は「気温が高くて、変な年」でしたが、いやそんな言葉では生ぬるい、「異常」の「異」の方がピッタリだと思われる方がおられるかもしれません。もっと踏み込んでいろんな闇が暴かれたので、「黒」（ブラック）と考える方があってもいいです。

頭に浮かぶ漢字は、明るいイメージが少ないのが残念ですが、コロナがあけてようやく元に戻りつつある社会という前向きな思いを込めて「復活」の「復」があってもいいと思います。いろんな漢字が浮かんでなかなかまとまりません。

以上、あれこれ考えましたが、今年の漢字が何になるのか、さっぱり読めません。

虎

牛

異

黒

復

放送日：2023年12月11日