(百回/篆文2200年前)
2014年の5月に始めたFM世田谷「アフタヌーンパラダイス」月曜日の「漢字成り立ち教室」のコーナーが今日で百回を迎えました。祇園の食堂で岸田君に古代文字の話をしたのがきっかけで、こんなご縁をいただきました。まさか、四年も続けることになるとは夢にも思っていませんでした。ラジオで漢字の話、とりわけ漢字を頭に思い描いてもらいながら、古代文字を使って「成り立ち」を説明することは、なかなかの冒険でした。引き受けてすぐにこれはラジオではむずかしいなと感じましたが、「おもしろい!」とか、「初めて知った!」とか「勉強になる!」といった岸田君と光部さんの合いの手にのせられてここまでやってきたようなものです。お二人に感謝です。
そんなこんなで、今日は100回を駆け足で振り返ってみようと思います。
![]() 雷/金文3000年前 |
![]() 光/甲骨3300年前 |
第1回は2014年5月19日でした。「雷に田があるのはなぜだろう」というタイトルでした。「雷」という字の成り立ちから始まりました。
第10回は2014年9月29日。タイトル「『光と愛』について」。光部愛さんが産休に入られる前の最後のラジオでした。「光部」の「光」と「愛」という字を取り上げました。
![]() 桃/篆文2200年前 |
![]() 鳥/甲骨3300年前 |
第20回は2015年3月10日。タイトル「桃の力」。「兆」という字が持つパワーの話でした。桃、跳、挑、逃 みんなパワーのある字です。
第30回は2015年8月10日。タイトル「故郷へ帰る鳥」。お盆の時期で、渡り鳥は祖先の生まれ変わりと信じられていた時代のお話でした。
![]() 申/甲骨3300年前 |
![]() 直/金文3000年前 |
第40回は2016年1月4日。タイトル「今年の干支は『申』」。でも、干支の「さる」とは関係のない「神」の話でした。
第50回は2016年6月13日。タイトル「『目』のつく漢字」。見えないものを見る力が目にはあることを「直」の字を通してお話ししました。
![]() 驚/篆文2200年前 |
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第60回は2016年12月12日。タイトル「今年の漢字」。リオオリンピックのあった年。その年の「今年の漢字」は「金」でしたが、私の予想は「驚」。見事はずれました。
第70回は2017年5月22日。タイトル「鳥の羽ばたき」。鳥が勢いよく飛び上がる姿から曜日の「曜」という字はできました。
![]() 赤/金文3000年前 |
![]() 文/甲骨3300年前 |
第80回は2017年11月13日。タイトル「赤い色は魔除けのしるし」。「赤」という字の成り立ちを探りました。
第90回は2018年4月23日。タイトル「文房具」でした。書斎で用いる道具=文房具、「文」や「房」の成り立ちの話をしました。
そして、今日を迎えました。こうしてタイトルを通して振りかえっても、不思議なことについこの間お話をしたような感覚があります。漢字の選択は、いつのまにかタイムリーな話題の字を選ぶようになってきました。漢字の話も「ナマモノ」だと感じたからです。
ただ、漢字の種は尽きませんが、取り上げる漢字をできるだけだぶらないようにしようと思うと、徐々にラジオではお話ししにくい、イメージがすくに浮かばない漢字になってきているように思います。この機会に振り返ってみて、忘れた頃にまた思い出すように、以前お話しした漢字を取り上げてもいいかという気になりました。
いつまで続けられるかわかりませんが、その時々の話題に関わる漢字をできる限り取り上げていきますので、もうしばらくお付き合いをいただけると嬉しいです。
最後に、いつも耳を傾けて聞いていただいているリスナーの皆さんに改めてお礼を申し上げます。
放送日:2018年9月24日
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