前回に引き続き「貝」にまつわる話。
子安貝(宝貝)は南方産の貴重な宝物。美しくて、小型、そして持ち運びが便利だったため、漢字を生んだ商の国の人々はそれをお金として用いていました。それで、お金にまつわる漢字の多くに「貝」が用いられています。
財・貯・賃・貸・売(賣)・買・費・賞・賀・貿・貴・資・貢 等など
今日はその貝が「税金をおさめること」にも使われていたという話。
王様とか土地を支配する人がでてくると、人々はその人に「税金」を納める義務を負うようになります。「守ってもらう」代わりに「税金を払う(貢ぐ)」ということです。
昔は、「税金」というより「年貢」という言い方のほうがふさわしいのです。その「年貢を納める義務」を表す、「貝」を要素にした漢字があります。なんという字でしょうか?
それが「責」。責任の責こそ、「税金を納める責任がある」という意味でした。それは、時に厳しく取り立てられたりもしたので「せめる」の意味も持ちます。
古代文字を見るとわかりますが、責の貝のパーツの上の部分は、先のとがった棒を十字に組んだ形をしています。これは木で出来た目印です。貝の上に目印として先のとがった棒を立てる。貝は年貢として納める宝物を指す。その上に、これは年貢として差し出すものなのだぞとわかるように目印の札を立てました。それが「責」という字です。責任を果たしたという印です。
その「年貢」を何で納めたか。年貢として納める「もの」がわかる漢字ができました。責任の「責」を要素に持つ漢字で、読みも「せき」。わかるでしょうか?
ひとつは、積。「のぎへん」をつけて稲などの「穀物」を税金として納めることを表します。稲をうず高く積んで運んだので、「つむ」という意味となりました。積雪、積善といいます。
もうひとつは、績。「いとへん」をつけて布などの「織物」を税金として納めることを表します。ちゃんと責任を果たしたことから、業績といい、成績といいます。成績は、年貢としての「績」がきちんと納められたことを表す熟語です。「績が成る」=税金の績が規定どおりきちんと納められたことをいいます。のち、テストの成績(成しとげた結果)のような使い方となりました。
ちなみに、税金の「税」も税金を納めることをいう字。穀物を納めたので「のぎへん」があります。納めるの「納」という字にも「いとへん」がついています。倉の中に織物(穀物)を入れて内におさめる。それで初めて税を「納」めることとなりました。
古代文字
コメントを残す