放送日:2014年6月9日
maturi1「祭」という字のなかには 神様の大好きな物が隠されています。

祭という字を分解すると三つのパーツに分かれます。このどれかが神様の大好物を示しています。

maturi2月という字を少し傾けた形カタカナのタに 点を一本ふやした形。これはなんでしょうか?

maturi3 又という字の変形。これは「手」の形。

maturi4 これは神様へのお供え物を置く台(テーブル)。下は三本の脚の形。のち、「しめすへん」となる。

 

「祭」という字は、「手でお供え物を置くテーブルの上に何かを置く形」。

そのお供え物の「何か」こそ、神さまの大好きな食べ物なのです。
お祭は神様に願い事を聞いてもらうための行事ですから、神様の一番大好きなものを捧げておまつりをしました。(つまり、神さまのご機嫌をとったのです)

その大好きなもののパーツはmaturi2。食べ物です。

maturi2は、古い「祭」の文字でいうとmaturi(金文)の hen

 

hen これは何か。答え。これは肉の形なのです。しかもステーキ肉の形。二本の点は肉の筋。今でいう霜降りの上等の肉というところ。肉は3000年前の人々にとっても、とても貴重なもの。その貴重で大切な肉を神様にお供えしたのです。

神様は お酒も好きだけど この貴重な肉も大好きだったのです。その貴重な肉を神様に供えて神様に願い事を聞いてもらう儀式が「祭(さい)」でした。願い事に神様がなんと答えてくれるか、それを「まつ(待つ)」のが日本語の「まつり・まつる」の語源となりました。

肉は神様に供えた後 人間がみんなでおすそ分けをして食べるのです。だから、本当は人間が大好きなものだったのです。しかも神様に奉納したこの大切な肉を分けてもらえる範囲の人たちこそ、「一族」の一員といえる人々でした。だから「祭」は肉を振舞って一族の結束を固める儀式でもあったのです。その肉を切り分けるナイフの形から氏(し、うじ)。足利氏、織田氏などという一族を表す「氏」の字が生まれました。

氏(氏・金文)

 

さて発展です。

maturi2が肉を表すことから、少し安めの肉?を表す字もありました。
筋が一本なのでカタカナのタに似た字。筋一本の安い肉の場合は肉を重ねて量で勝負したということでしょうか。その字が。タを二つ重ねた字。
→多いという字は肉を重ねた形から生まれた字でした。

ちなみに
henが「月」を斜めにしたように描かれたので やがて「月」と書くようになり、「肝臓・腎臓」等などに用いられる「月」を「にくづき」と呼ぶようになりました。人間の肉体とかかわる字に使うのが多いのは、この月がもともと「にく」を表したからでした。