放送日:2014年7月14日

虹

昔、漢字を生み出した中国の人々は天には神様がいると信じていました。
その神様は龍(リュウ)の形をして雲の中に住み、怒ると雷の姿となって激しく暴れ、穏やかなときは河(黄河)に降りて水を飲んだりしたといいます。その河に水を飲みにくる龍の姿こそ「虹」でした。弧を描いて水を飲む龍を、巨大な蛇のような生き物(虫)と想像したことから、虫の字を使うようになりました。(今で言えば爬虫類と考えていたということです)

これと同じように普段よく使う字で、「龍」の意味を持つ「虫」の字が入っている字があるのですが、思いつきますか。

答えは「風」。よく見れば、風の中にも虫がいます。

昔、風は空で「龍」が吹かせるのだと考えられていました。だから、風の中にも龍(虫)がいるのです。といっても、風という字は新しい字なのです。古く風は「鳳」(ほう、おおとり)と書かれていました。「かぜ」は一番早くには「鳳」という大きな鳥の羽ばたきであると考えられていました。その鳳の羽ばたきの「かぜ」が、次第に「龍」が吹かせているというふうに変わっていったのです。それで、今私たちは「風」と使っていますが、風のルーツは「鳳」という鳥の羽ばたきを表した字でした。

さて、虹の右側は「」(ク・コウ)です。この字は、古くは上側が半円形をした、ものを曲げるための工具の形です。(現在は物を置く台のように平らになっていますが・・・)その「工」という道具が半円形で虹の形に似ていたので、虹の字のパーツとして使われました。

そこからまた新たな字が出来ました。「工」が半円形をしていたため、それと同じように半円形をしているあるものを表すために「工」を使った字があるのですが、思いつきますか。(ヒント)スケールの大きい半円形を表す字です。見上げるとわかります。

答えは「空」。古代の人びとは、天(そら)は半円形になっていると考えていました。天を見ていると本当にそのように感じます。だから「あなかんむり」に「工」で「空」という字を作ったのです。
虹という漢字から 風、そして空。雄大な世界につながる漢字たちです。

古代文字

虹(虹・篆文  2200年前)・・・この時代になると工は弓なりの形ではなく直線で書かれるようになっている。

風鳳(風・甲骨  3300年前)・・・冠をかぶった鳥が描かれている。冠は神聖な鳥であることを表す。

風(風・篆文)・・・風の中に蛇の形が入っている。

空(空・篆文)・・・「あなかんむり」と「工」。空を見上げると本当に半円形の穴の底のような所に私たちはいると感じる。古代の人びとも同じ思いだったのだ。