みかんがおいしい季節になったので、みかんにまつわる漢字の話をしようと思います。 中国の古代にも果物はいろいろありました。リンゴ・梨・栗・桃・柿、みかんのような 柑橘類等など、今のように気軽に食べられなかったとは思いますが、いろいろありました。
その果物の「果」、結果という時の「果」という字にまつわるお話です。
果は「木の上に田」と書きます。木は「樹木」の木ですが、上の「田」の形は何かわか りますか。現代の字では想像しにくいですが、古代文字は次のように書かれます。
この古代文字を見ると、「田」の部分は円くなっていて、それが四つの部屋にわかれ、 それぞれの部屋に黒い小さな点(・)がついている形です。
この木の上にあるのは、たわわに実っている「木の実」なのです。しかも、小部屋のよ うに分かれているので、みかんのようにむくと袋状に分かれた実をさしていると考えられ ます。
ということで、果物の「くだ」とよむ「果」の字は「木になったみかんの実」を表して いるのです。それが、「木になる実」の代表として使われ、のち一般に「木の実」を表す ようになりました。
木の実は、枝に芽が出て、花が咲き、やがて実をつける その一連の最後の段階なので、 ものごとの最後の状態を示す、「結果」という意味にも使われます。
また、その木の実がみかんのように小分けされた部屋があったので、会社や役所などで 仕事がいろいろ分かれている部署のことを「ごんべん」をつけて、総務課・経理課・福祉 課などと使う「課」という字にもなりました。
木の実は保存用に乾燥させて「干し柿」のようにしていました。今のようなお菓子がな い時代には、その果物を乾した食べ物がお菓子でした。ですから、お菓子という字の中に 「くさかんむり」をつけた「菓」が入っているのです。
みかんを食べる時、木の枝にたわわになったみかんの実=果という字を思い出してもらえるとうれしいです。
放送日:2014年12月15日
古代文字
(栗・甲骨 3300年前)・・・いがをつけた栗の実がなっている形
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